東埼玉新聞社
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2017.02.18(土) 
≪復職した小川市議の議員資質を問う≫③
チャランポランな「住所」~法律違反と常識逸脱


小川利八草加市議
 草加市議の小川利八氏(49)=無所属、5期目=は、「住所」に対する考えと行動がチャランポランだ。一貫しているのは選挙の地元である草加市青柳地区へのこだわりで、そのためには虚偽の住民登録や2週間以内に異動届をしないなどで住民基本台帳法を犯し、住民登録した生活拠点の住所とは違う場所を印刷物で使うなど議員の常識を無視して平気である。
 「住所」―住んでいる自治体に住民登録することは、権利が保障され義務を果たす重要なものだ。選挙権・被選挙権や公的扶助を受ける場合がそうだし、納税も…。
 市議会議員に立候補するためには3か月前から市内に住民票がなければならない。当選後の規定はないが趣旨は議員に課せられており、住民登録していれば市内のどこに生活の本拠を置いてもいい訳ではないはず。小川市議は、この「住所」を自分の勝手な都合でいい加減に扱っている。議員としての資質が問われる問題ではないか。

弟宅への転居届は錯誤? ⇒「短期間貸してくれ」の虚偽

 小川議員の議員資格審査問題は、昨年5月31日、同市青柳7丁目の弟宅への転居届が「実際に居住していない」として草加市長が住民票を職権消除したことに始まる。「短期間、住所を貸してくれ」と弟に頼んで住民登録をしたもので(草加市議会資格審査特別委員会で市民課職員が証言)、弟の家族が「住んでいないのに(家の住所を)使われては困る」と市に対し実態調査を申し出た結果、職権消除された。しかし翌朝、小川議員は「弟宅への異動届は錯誤だった」として、同市北谷町の父親宅に修正した異動届を出し受理された。
 また、住居を探していた同年5月中旬には、草加市青柳の友人から「住所を借りて」住民登録しようとしたが友人家族の反対で不調に終わっている。弟宅への転居届は、「錯誤」で処理されたが、実際は住むつもりがなく住所を借用した「虚偽」の届けだった。
 住所を借りるという違法行為の理由は、「選挙をやっているので、どうしても地元に住所を置きたかった」。身勝手なことは誰の目にも明らか。議員バッジを守りたい一心で最悪の選択をしている。そこまでする議員を市民の代表と認める市民がいるだろうか。率先して法律を守るべき議員のすることではない。
 住民票が消除されると住民としての権利がなくなる。当然、1晩だけだが、小川議員は議員資格を喪失した。これを受けて市議会各会派代表4人が資格決定要求書を提出、資格審査特別委員会が設置された。

会葬御礼、喪中葉書に住民登録と違う住所を記載

 昨年9月初め、亡くなった元妻の葬儀で、喪主の小川議員は会葬者に礼状を渡した。その住所は草加市青柳5丁目と記されていた。また、昨年12月中旬には同市青柳8丁目を住所とする喪中葉書(欠礼葉書)を友人知人らに出している。
 小川議員は、昨年8月中旬から同市栄町に転居し、転居届をし議会事務局にも届けていた。それにもかかわらず、生活拠点と異なる住所を使っていたのである。会葬御礼は9月1日に市議会が議員資格を有しないと決定した直後、喪中葉書は小川議員が審査申し立てをした埼玉県知事の裁定が出る前後(裁定は12月16日)のこと。
生活の拠点である「住所」を巡って議員の資格が問われている時期に、本人も議員であり続けたいと考え県に審査申立てをしている中で、住民登録した住所と異なる住所を使用する神経は常人はずれとしか言いようがない。議員として住所や連絡先を明らかにしておくという市民への責務も果たしていない。
 会葬御礼は、草加市議会が県の自治紛争処理委員の審査に資料提出したが無視されたようだ。小川議員の「住所に対する不誠実さ」「生活拠点がどこかわからないこと」を示す具体例だったが…

「5月7日から父親宅に」は大ウソ? 住民票の自己申告は5月27日

 小川議員が住所を弟宅から父親宅に修正した昨年6月1日、市民課職員が「父親宅にはいつから?」と聞くと「5月27日から」と答えている。市議会資格審査特別委員会で市の担当者が証言した。本人の申告どおり、この日付が住民票に記載された。ところが、わずか1週間後の市議会特別委で、小川議員は「5月7日から父親宅にいた」と言い、その後も一貫してこの主張を繰り返した。県の自治紛争処理委員に対しても同じことを証言している。
 どちらも同じ人間の口から出た言葉である。どちらが事実なのか? 両方ともウソなのか? 本人が申告した公的記録の日付を前提とすれば、「借家退去の5月7日から父親宅にいた」は大ウソになる。「ウソも百ぺん言えば本当になる」の類か?
 住民票が回復し父親宅に住所修正した時は、小川議員の資格審査要求が出る前だった。従って、異動した日付の5月27日は弟宅への異動届を出した日でもあり、自然な形で申告したと思われる。この日以前は父親宅に居なかった可能性が高いことを示している。つまり借家退去後の5月7日から20日間の空白期間は住所不定状態にあり、どこを生活の拠点としていたかは不明のままということだ。
 「5月7日から父親宅にいた」は議員資格審査が始まり、借家退去後の継続した生活本拠を示す必要に迫られて言い出したと疑える。父親と共に偽証罪で告発されるのも当然か。

「元妻は越谷市内の長男宅に」⇒医療費扶助の不正受給か

 「住所」についてはもう一つ犯罪に問われかねない重大なことがあった。元妻の問題だが、同居していた小川議員が無関係とは言えない。
 週3回の人工透析を受けていた元妻について、市議会及び県の調査に対して「借家退去後(5月7日から)、彼女は越谷市内の長男宅に同居」と証言している。彼女は医療費の公的扶助を受けていたから、転居した越谷市に住民登録をし、改めて扶助申請をしなければならなかった。しかし届けておらず、草加市を通して受給していた。公的扶助の“不正受給”に該当しよう。
 昨年7月末、本紙は「異動届けをしないとまずいよ」と小川議員に話した。さすがに不正受給で給付停止になるかも知れないと気付いたのだろう。同議員は、その日のうちに元妻の実家への異動届を出した。この時、小川議員は「妻は青柳の実家にいることが多いですから」と、証言内容と異なることを口にしている。証言とのつながりを無視して口から出まかせを話したとしか取れない。「住所」が生活の中でどれだけ重要かを全く認識していない姿を曝け出した出来事だ。選挙に関係がないから放置していたと言われても仕方がない。

住民登録外の住所で「地元の人間」演出⇒選挙のためなら何でも…

 小川議員は議員資格審査の過程で、再三「(選挙の)地元を離れる怖さ」に触れている。議員にとって地元を離れることは大きな問題ではあるが、一時的に離れることは致命的な事柄ではないはず。出来るだけ短期間に戻ればいいだけの話だ。地元を離れたら地域の活動ができないわけではないし、空白ができたとしたら埋める努力をすればいい。
 同議員は「住所」を正攻法で取得することをせず、友人や弟から違法な「住所借り」を企図した。その後の会葬御礼や喪中葉書の住所を「青柳」にした姑息な手法も、「青柳の人間」を演出する支持者向けのパフォーマンスで、「住所」を真摯に捉える認識が皆無だった。
 「選挙第一」「地元大事」―これは選挙をやる政治家の性かもしれないが、そのためには法律も常識も関係なく何でもやる、では困る。小川議員の行動を「青柳を愛する姿」と評価する支持者がいることは事実。が、ある種の危惧を抱かざるを得ない。
 議員には市民より高い道義性を求められるが、普通でいいから最低でも市民生活の規範・常識を守って欲しい。これらを守れない者が議員であってはならないし、議員の資質はない。「たかが住所」と侮り市民常識を逸脱して平気な議員には“退場”してもらうのが一番だ。

草加市議会の決定と埼玉県知事の裁決

 小川利八議員が草加市議会で議員失職を決定され、埼玉県知事への審査申し立てが認められて復職したが、その判断の違いはどこにあったのか。
 市議会の審査は、「生活の本拠はどこにあるのか」を中心に行われ、小川市議が一貫して主張する「父親宅にいた」とする証言が、生活実態を示す指標の光熱費等の使用量が減少していることなどから居住していると思われず、証言を変えたこと(小川議員は訂正と言っている)からも信ぴょう性がないとし、総合的に「草加市内に生活の本拠があったとは認められない」と結論付け、議員資格を有しない決定をした。市議会では全会一致だった。言い換えれば草加市民の総意。
 本紙流にざっくり言えば、生活の本拠=住所がどこにあるかわからず、草加市内に居たとしても住所不定では議員の資格がない―ということ。
 (県自治紛争処理委員3人の調査・意見に基づく)県知事の裁決は、小川議員が草加市外に居住していたことを示す客観的な証拠がない中で、父親宅に居住していたという家族と家族以外の陳述、草加市内に居住しようとする本人の意思を踏まえ、父親宅等に生活の本拠があった ことは否定できず、草加市内に住所を有していた―と結論付けた。
これは「住所を客観的事実のみで認定し難い場合は、本人の主観的意思が補足的に考慮されるべき」という判例や自治省行政局長等通知に基づいている。裁決は小川議員が「市議会議員の資格のうち住所要件を強く意識し…」と評価している。本稿で指摘した例とは対照的だ。
 裁決は、市議会が「本人の生活の本拠が父親宅になければ草加市内にはない」と判断したことに対し「それ以外のどこにあるか示していない」と指摘し、「どこに生活の拠点があるかを判断すべきだった」と断じている。
 県の自治紛争処理委員の調査は、性善説にたち、疑わしきは罰せずの姿勢。「父親宅に居住していたと認められる」では、本人をはじめとした家族、近しい友人などの陳述を柱にしている。市議会よりも多くの陳述を得ているが、全員が“根回しの利く”間柄であり、ネガティブなことが出てくるはずがない。一方、市議会は多くのことで本人と直接対峙し、双方に悪感情を生みながら事実を追求した。強制力のある100条調査特別委員会の調査でも司法捜査と違って限界がある中、市議会の調査は最善を尽くしたのではないか。
 小川議員の資格審査問題は1件落着した。制度的には双方の見解に良し悪しの問題はなく、決定をそのまま受け止めるしかない。後味の悪い事件だった。



2017.2.9(木)
≪復職した小川市議の議員資質を問う≫②
詐欺的な借金~担保は差押えの議員退職一時金

小川利八草加市議
  草加市議会の小川利八議員(49)=5期、無所属=は多くの友人・知人から借金している。誰しも借金するには理由があるし、個人間の信頼に基づくものだから悪いわけではない。問題は、借りる際にウソをつき、借りた後は約束通り返済せず、催促されなければとぼけ通していることだ。具体的には、廃止された議員年金の退職一時金の計算書を見せて確実に返済できると信用させ、数人から一時金以上の金額を借りたが、支給されても返したのはわずかに過ぎないことである。
 一時金は約700万円入ることになっていたが、市税滞納などの差押えを受けていたため、ほとんど本人の手元に入る見込みはなかった。この事実を隠し、さも収入があるかのよう誤解させて借金を重ねた。これは詐欺に等しいのではないか。市民生活の中では普通このような人を“詐欺師”と呼んでいる。市民を騙し善意を踏みにじる行為は、議員の資質を問われて当然である。

土下座して懇願、利子3回だけ持参、誓約書も簡単に反故

 草加市柿木町の60歳代の男性Aさんは、2013年9月初め、小川議員に550万円を貸した。「恩ある人に返さなければならない」とAさん宅に日参、庭の芝生で土下座して懇願した。返済のめどを問うと、戻ってくる議員年金の計算書を示し、来年11月に入るので間違いなく返すと説明した。Aさんは「本当に困っているのだ」と思い、借用証を書かせ(年5%の利子を明記)、計算書をコピーして預かった。その後、利子分を3回(約16万円)持参しただけで、一時金が支給されても返済せず現在に至っている。小川議員の携帯電話にかけても無視され、連絡がつかない状態が続いた。

2013年5月7日付で作成された小川議員の議員年金退職一時金(見込み額)の計算書
 小川議員の議員資格問題を草加市議会特別委員会が審査していた昨年夏、Aさんは公の場で小川議員に金を貸したが返してくれないことを明かした。それを小川議員が聞きつけたのか11月下旬に連絡があり、面談したところ「12月に返す」という誓約書を書いた。ところが何の連絡もなく年が明け、今度はメールで「返済計画を相談させて欲しい」と伝えてきた。あまりの不誠実さに、Aさんは「口から出まかせでその場をやり過ごし、どんな約束でもする。そして守らない」と呆れてしまった。
 Aさんは、2014年の市議選で「地元の議員がいた方がいい」と小川議員を支援、地元をくまなく引き回ししたという。貸金の件で小川議員のいい加減な本性がわかり、さらに「有権者はバカだから」と公言していたことを知って、「人間としてダメな者が議員でいいわけがない」という結論に至った。今は「あのような者を地域の多くの方々に頼んだことを申し訳ない」と悔やんでいる。弁護士に相談し近々、法的対応をとる予定だ。
 この議員退職一時金を“担保”に借金を申し込まれた知人は多数おり、何人かは実際に貸した。小川議員が借りた総額は、戻ってくる一時金の額を超え、ほとんど返していない。これは計画的で悪質な詐欺行為と言えるのではないか。

「世間体が悪い」と催促せず~小川議員の思うツボ?

 草加市西部の70歳代男性Bさんは、「特許がある。売れば1000万円になる」と言うことで110万円を貸した。50万円を返済しただけで終わっている。その前に30万円貸しており、90万円が残っている。もう5、6年経つが小川議員からの連絡は全くない。「しょうがない人だ」とBさんは催促していない。また、特許が実際にあったのかは知らない。返す見込みがあることを印象付ける作りごとと見ている。
 常習の寸借詐欺師は、もっともらしい口実をつくり、笑顔と巧みな言葉づかい、泣き落としなどあらゆる手を使って騙すという。現金を手にするまでは、ウソをついている自覚、恥ずかしいという感覚などないそうだ。(警察関係者の話)
 小川議員は、同じ友人から2度借りているのも目立つ。ほとんどが「議員だから信用した」と言う。催促する人や一目置かざるを得ない人のところには、出向いて返済する意思があることを示し延期を頼み込んでいる。が、返済は進まないという。債権者の中には、「貸したものはくれたと思うしかない」「(小川議員のような)あんな奴に金を貸したなんて世間体が悪い」と諦めている人もいる。これが小川議員の思うツボで、新たな貸主を探し被害者を増やす結果になっている様だ。
 一方、数百万円を貸した会社(または社長)が複数あり、関係者によると小川議員の議員報酬に差押えをかけ回収を図っている。

草加市発注事業の受注会社社長からも借金~道義的にダメでは?

 小川議員は草加市の事業を請け負っている会社の社長からも借りている。複数の人がいて、金額は30万円前後らしい。いずれも返済していない。小川議員が社長らに便宜を図ったかどうかは不明だが、市民の誤解を招くことは間違いない。友人だとしても、借りる方、貸した方とも道義的な問題がある。
 返済していない現在は、小川議員が借りを作った状態にある。いずれ“仕事”で返すつもりではないだろうが、貸主の社長からは「将来、何らかの働き」を期待されているかも知れないし、具体的に依頼される可能性だって残る。
 市議会議員の職務権限は極めて限定的だが、よく口利きや業者紹介などに利用される。「貧すれば鈍す」に陥り易いことを肝に銘じるべきだ。

小川議員「自分のためには使っていない」~騙していいの?

友人らを騙してまで借りた金を小川議員は何に費やしたのか?
小川議員は今年1月27日に開いた市政報告会で、週3回の透析を受けていた元妻(戸籍上は離婚したが同居、昨年9月病気のため死去)について聞かれ、「(治療費は)医療費扶助から降りてこない分があり毎月10万円以上かかっていた」と話した。議員報酬が差し押さえられる中、3人の子供を抱えた生活は大変だったことが窺い知れる。報告会ではさらに「自分のために使ったことはない」と述べ、「贅沢してないしギャンブルもしていない」と“浪費”を否定したという。つまり、一家を支える生活費のために借金せざるを得なかった、ということらしい。市議の改選期には供託金名目で30万円を複数から借りており、生活の一端がわかる。しかし、この供託金も返されたのに返済していない。小川議員は、自転車操業的に借金を繰り返して、必死に家族を守ってきたのかも知れない。
しかし、議員という肩書の信用を武器に、返済に使えない議員退職一時金やウソっぽい特許ばなしで知人らから詐欺的に借金し、返済しない期間が長く続いている。これは小川議員の言う「迷惑をかけている人はいる」レベルの問題ではない(市政報告会での発言)。貸した友人の何人かは間違いなく騙された(結果として騙したことも犯罪要件になり得る)。警察が捜査に消極的なことから被害者を増やしてしまわないか心配になる。
友人・知人を騙す者が良識ある議員? 本当に議員でいいのだろうか?





2017.2.7(火)
  ≪復職した小川市議の議員資質を問う≫①
青柳中CFC(元PTA)会計に疑惑


 小川利八議員が会長を務める草加市立青柳中学校CFC(CommunityForChildren)の会計処理で、草加市の補助金を含む青柳地区古紙回収事業の助成金が複数年度計上されていないことがわかった。さらに累積繰越金約261万円を巡って通帳履歴の開示を求める地域住民の声があるのに、「市教委、学校との話し合いで解決済み」という姿勢でウヤムヤにしようとしている。
 組織の責任者として、市費を含む助成金をきちんと処理せず、関係者の情報公開を頑なに拒んで説明責任を果たさない行為は、市税の使われ方に対する見識が問われるし、市政をチェック・提言する市議会議員として相応しいか疑問だ。

古紙回収の助成金(市費含む)を決算に計上せず、どこへ?

 草加市青柳地区では、青柳ゴミ対策協議会(町会やPTAなど17団体)をつくり、資源である古紙の回収活動をしている。ゴミとして焼却する費用を減らす狙いもあり、草加市が1キロ当たり7円を補助している。ここ数年の助成金額は200万~240年円。協議会は売上金と補助金の合計で運営され、実績などに基づいて各団体に配分。回収量はこの10年間で10トンほど減少し、各団体への配分額も減少せざるを得なくなっている。
 青柳中CFCの定期総会に提出された決算書では、2009年度30,000円、2011年度25,000円、2012年度25,000円が収入に計上されていない。PTA時代の2008年度の30,000円も計上されていない。各団体への支払いは、協議会の決算報告書に明細が記載されており、青柳中CFCへの支出も明記されている(団体名はいまだに青柳中PTAとなっている)。市民の血税を含み住民が回収に汗を流した成果の11万円がどこかに消えてしまったのである。2009年度を除くと小川議員が会長を務めていた。ずさんな会計処理の責任は、最初からCFCのリーダーでありほとんど会長を務めた小川議員にあると言っていいのではないか。
 協議会事務局は「領収書を確認しないと正確には言えないが、(記憶では)間違いなく払っていると思う。年度は忘れたがCFCの理事宅に届けたことがある」と話している。また、各団体への支払いは協議会の会議で現金を手渡しし、欠席団体については後日担当者に届けたという。会議には主に各団体の長が出席するが、青柳中CFCの出席者は分からない。

繰越金260万円~履歴開示拒否、通帳破棄、別口座新設

 青柳中CFCは、2015年度から会費を廃止し、事業計画・予算を策定しなかった。2016年度総会でも事業計画・予算が提案されなかった。
 繰越金は261万円余あり、会員や保護者OB、地域住民の中に「お金がないから事業も予算も提案できないのでは?」という不安と疑問が生じた。
 会長である小川議員に通帳の開示を求めたが「必要ない」「失礼だ」と一蹴されたという。理事に入っている学校側も2年前、小川議員に通帳の確認をさせて欲しいと頼んだが、「信用してくれ」の1点張りだった。
 昨年8月末、保護者OBが市教委に相談した。市教委の職員が小川会長に通帳を見せるよう要請すると「(疑われることで頭にきて)通帳は破り捨てた」と言い、確認することができなかった。その直後、CFCの中心的な女性理事が繰越金の総額に当たる現金を学校に持参したが、学校は「預かれない」と断った。その後、別の理事名義で預金されたという。
 この何が何でも見せないという子供じみた工作は「何かを隠そうとしている」と感じてしまう。議員の職をカサに“信用”を押し付けていることも…。
 会費は保護者と教職員らが出したもので、保護者からは学校給食費と一緒に口座引き落しをしており、いわば公金である。会員や学校はもちろん、会費を3年間払い続けたOBが通帳履歴の開示を求めるのは当然の権利、真っ当な組織運営なら公開する。実はここにCFCの大きな問題があるとみられるのだが、このテーマは別途取り組みたい。

「おかしくないですか?」と地域にビラで問題提起

OBらは市教委、学校と話し合ったが、通帳履歴の開示については消極的でどうにもならなかった。
 このため地域の人々に知ってもらおうとビラをつくり昨年10月から配布した。文面は「CFC(元PTA)のお金約260万円がどうなっているのか…わかりません」と疑問を列記したもの。非難や中傷ではない問題提起。青柳中の卒業生や保護者、同中を地域で見守ってきた住民に一緒に考えようと訴えた。
 このビラに関しては興味あるエピソードがある。ビラに名前を載せた男性(元CFC理事)のところに、学校に現金を持って行ったCFCの女性理事がビラの説明を求めてきた。男性が「要は、通帳履歴を出せばはっきりすることじゃないの」というと、ムニャムニャと聞き取れない言葉を発して泣き出したという。その涙が真実を語っているのかも知れない。
 開示を求めている側は「疑問だから公開してと言っているだけ。小川会長が使い込んだと追及しているわけではない」という。開示できない理由はどこにもないし、開示すれば納まる話である。

事実確認から逃げる市教委と学校

 通帳履歴の開示について、市教委は「任意団体の活動にあれこれ言える立場でない」が基本スタンス。繰越金の全額があったのだから、これ以上の詮索は必要ないということのようだ。これでは教職員が会員であることや会費を学校の集金システムを利用して徴収するなど学校運営の一環である根拠がなくなってしまい、社会教育団体であるPTA活動(一応CFCも類似団体として)が教育行政に位置づけられていないことの証になってしまう。
 学校は校長以下、教職員全員が会員であり、当事者である。かつては会計担当の理事が存在し、今年度は理事を4人も出している。ところが会計担当が決算報告書に署名捺印しないなど責任を果たしてこなかった。保護者と保護者OBの地域理事らで物事が処理され、学校側はスポイルされてきたようだ。このことに苦痛を感じないのは、「使い心地のいい財布」が機能すればいいと考えていたからだろうか。
 今回の問題でも、理事として事実確認ができ、しなければならない立場にあるはずだが、「(最悪の場合マスコミが押し寄せ)子供たちに動揺を与え、教育環境が損なわれる」ことを心配、市教委と同じく「ちゃんと残高があるのだから…」とフタをした。子供のせいにして責任逃れを図っているようにしかみえない。
 市教委、学校とも「大人の対応」とばかりに事実確認から逃げてしまった。この5年間でみると、700人を超す卒業生の保護者、延べ100人を超す教職員の会費に、一部とはいえ関係者が疑問を発している。深く受け止められないのだろうか。

【青柳中学校CFC】

 小川議員が中心になって青柳中学校PTAを改組した。「出来る人が、出来る事を、出来る時に」というボランティアの考えが基本。
 学校備品購入などの学校協力金に半分以上が使われているPTA会費の使い方の見直し、経験豊かな地域の人々と地域の中で学校を見守ることを柱に、2010年度に発足した。会員規定を生徒の保護者、教職員のほか「趣旨に賛同する者」に広げた。学校備品を市費で購入する流れを加速させたと言われている。
 朝のあいさつ運動、校内の草取り・花壇などの環境整備、生徒のAED講習、制服採寸・引渡し補助、体育祭の駐輪整理などの活動を進めた。従来の学校行事と部活動への補助を順次削減、会費も逓減し2015年度からゼロにした。一方、市PTA連から離脱し、ボランティア保険の加入をやめた。離脱はP連が飲食を伴う視察や忘年会・新年会が会費で行われていることへの批判で、保険はほとんどの会員が生命・傷害保険に加入しているからが理由。
 会の趣旨に賛同する者も会員になれるため、子供が卒業した後も会員または理事として活動できる。小川議員もこのケースで会長を務めている。地域の賛同会員は22人が最多だった。
新年度から学校応援団にするという方針を打ち出している。